10.16 小説、語り・よろず comment （0）

小政、短文。
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ああ、政宗様。

どうか、
もっとご自愛下さいませ。


そんな、形振り構わず前に進まれては、
何時、敵に御後ろを取られるか。



時には、御自身を案じて下さいませ。
何時、私めがとうに敵に討たれ、
その御後ろを襲われることになるか。

この小十郎、
命が幾つあっても足りませぬ。


政宗様が、その様に、
御自分の御身を顧みないのであるのならば、
この小十郎、
死んでも政宗様の
御後ろを御守りするしかありませぬ。


（…いや、

　　寧ろ、俺は、

　　それを望んでいるのであろうか）



「ん？どうした？何ボーっとしてやがる、小十郎？？」

「はっ、すみませぬ。
　本日は天候が優れぬゆえ、少々気分が悪く。」

「そうか、あんまり無理するなよ？小十郎？」

「……それは、私めの台詞ですよ」

「ん？今なんか言ったか？」

「いえ、何も。恐らく、
　もう夕暮れゆえ、何処かに鈴虫でもいたのでしょう」