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04.29
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マサシ×カツノリさん
切ないような甘いような。
続きものになるかも、かも・・・┗(^o^)┛

ちょっとノリでがーーって書いたので誤字脱字あったらスミマセ









『ネクタイ』




「カツノリさぁん!」

あぁ懐かしい声。やっと彼に会えるんだ。


7日の午後7時にのライモンシティの7本目の街頭の下で待ち合わせ。
カツノリさんに会える嬉しさはラッキーセブンが何個あっても足りないくらい嬉しいからそこにしましょう。と、僕の恋人、マサシ君ことマーくんが提案したこの待ち合わせ場所。
初めてその案を聞いた時は、思わず笑っちゃったけど、
お茶目で楽しいことが大好きな彼らしくて、今、この場所に居るだけですっごく幸せな気分になっちゃう。
……まぁ、例え待ち合わせ場所がここじゃなくても幸せなんだけどね…
1ヶ月ぶりに、やっと彼に会える。
それだけでも、僕の心は遠足が楽しみで寝れない子供のようにわくわくしてしまうのでした…。

「あと…5分、か……」

辺りはすっかり暗くなって、電気の使い手のジムリーダーがいる街に相応しいイルミネーションが輝き、光が踊り出す。
また、マーくんは遅刻かな?
何時も20分は遅刻して、ばたばた走りながら、遅れてすみません!って何度も何度も頭を下げるマーくん。
だから、「7時より遅くてもいいよ?」って言うと、慌てながら、
「いやっ!7じゃないと駄目です!じ、次回こそは7時に間に合わせますので!」
って言うんだよ、変にこだわっちゃう、でもそのくせ、1回も七時に間に合ったことがない、そんなマーくんが、好きです。

「あと1分、と。ふふ、今日は何分遅れで来るのかな?」

もはやマーくんが遅れてくることすら楽しみになってる僕。
最長の57分を更新する日も近くないかな…。
と、その時、

「カツノリさぁん!」

バタバタと慌ただしい音と共に、大好きな、彼の声が。

やっと会える。

胸を踊らせ、声のする方へ振り向くと、
髪やネクタイを乱し、汗だくなマーくんが、息を荒げてすごいを顔しながらまるで運動会の走者みたいにこのゴール地点という待ち合わせ場所目掛けて飛んできた。
ガッと僕の目の前で止まり、
膝をついてぜーはー息を切らせながら、

「今何時ですか!?」

と、体温が上がって真っ赤な顔を僕に向けて尋ねてくる。

僕は腕時計の長針を見る。
時刻は7時1分。

「わぁ!おめでとう!丁度、今7時になったところだよ!すごいねマーくん!!」

「ふぉ!ほっ…んとうですか!?くぅ、よっしゃあぁぁ!!…っや…ゼーハーやりましたよ俺!カツノリさんっ!」

1分は頑張ったおまけだよ。
ガッツポーズをしながら目を輝かせてるマーくんには聞こえない、心の中の声でこっそりそう呟いた。


「それにしても、ほんとどうしたの?今まで一番早くても20分は遅れてたのに…」

「ははっ…、何時までも遅刻しまくりの駄目駄目人間じゃ駄目だなって思いましてね」

「ふふ、そっか…」



そう、マーくんは本当駄目駄目でお馬鹿な子だった。
僕らが、まだ、同じ会社に勤めていたときから。

そっか、もう、6年も前のことになるんだ…。


6年前、バトルカンパニーに勤めて3年目。
僕と同じ部署に配属されることになった新入社員。
そう、それがマーくんだった。
若々しくてハキハキしてて、いかにも絵に描いたような「新入社員!」みたいな子。
「宜しくお願いします!!!カツノリ先輩っ!!!!!!!」
って頭を床にぶつけちゃうんじゃないかって位、勢い良く思い切り頭を下げてお辞儀してたなぁ。

そして、出社2日目に遅刻。
目覚まし時計のアラームのセットした時間を間違えてしまい…。って、
何度も何度もすみませんすみませんって上司に頭下げて謝ってて。
本当しょうがない子だったなぁ。

その翌日の朝、僕は何時も始業の40分前に自分のデスクに居るようにしてるんだけど、
僕が着た時には、なんと、既にマーくんは自分のデスクに居たのでした。
でも、デスクに顔を突っ伏して、グーグーいびきをかきながら寝てました。

どうしてこんな早く此処にいるんだろう…
怒られちゃったから反省して早く着たのかな?
ちょっとお話してみたいから寝てるところ悪いけど起こしちゃおっかな。

そう思って、彼の背中を揺すった。

「……ん、、、、んぅ………………ん?」

眠そうにやっと半分眼を開いたかと思うと、急に目をパチっと開き、
ガバァッと顔をあげるマーくん。

「わ。 !? わ、 此処、何処…あ、会社… !?あ!?先輩!??
 あ!??今、何時!!!?? あ、まだ30分前…あぁ良かった……遅刻する夢見た…
 ってうわぁぁあああああ!!!!!!!先輩!?どうして此処に!!?え?わ!?」

あまりに、挙動がおかしくて可愛くて、思わずふきだしちゃいました。
それが、僕とマーくんが初めて話した、そして、今もこうして一緒に会う関係になるきっかけ。

「遅刻しないように1時間前に会社ついて、それで始業時刻になるまで寝てようって思ったんです!!」

って真剣な顔して言うマーくん。
新入社員どころか高校の新入生みたいな台詞が可愛らしい。

「ふふ、偉いね。でもさ」

僕はマーくんの首元に、スッ…と手を伸ばす。
マーくんはいきなり僕の手が首筋に近づいてきて、!!???って顔をしてた。
僕はそのまま、彼のネクタイをしゅるり、と解く。
そして、綺麗に締めなおしてあげた。

「ネクタイ、くしゃくしゃだったよ?」

「あ、あ、あ・・・・・・・・あ、り…が、とう…ございます…」

マーくんは顔を真っ赤にしながら僕にお礼を言って、
暫らく黙り込んだ後、
「じ、自分じゃ…上手く…巻けなくて………………」
って小さく呟いた。

「これから、君、毎日この時間にはくるの?」

「はっ、はい!」

「そっかぁ。じゃぁさ、明日から僕がやってあげるよ。」

「え?」

「ネクタイ。」

それから、僕らは毎日1時間前には会社にきてて、
ネクタイを締めてあげたり、
会社のこと教えてあげたり、
上司に怒られたお話聞いてあげたり…

ほんと、最初は仕事ではミスするわ、上司に怒られまくるわ、
「馬鹿マサシ」っていう名前で上司に呼ばれちゃうくらい、
マーくんはほんと稀に見るお馬鹿な子でした。

でも、マーくんは、凄く優しくて、頑張りやさんで、
最初は酷かったものの、仕事に慣れていくうちにだんだんじわじわと
彼の魅力が出てきて、上司からも普通に呼ばれるようになった。

そして、マーくんが入社して、3年目。
ある企画の主任にマーくんが選ばれたのでした。
やっと上司から信頼を得られた!ってマーくん、凄く喜んで、
僕も、すっごく嬉しくて、奢るからお祝いしよう!って、2人で居酒屋に行ったんだ。

…で、そこで、酔った勢いなのか
「ずっと好きでした!」
ってお酒のせいか恥かしいからか顔真っ赤にしながらのマーくんに僕は告白されました。

それから、僕らは正式な恋人になりました。
今まではマサシ君とカツノリ先輩だったけど、
それからはマーくんとカツノリさんになりました。

朝は、勿論、相変わらず毎日1時間前にきて、ネクタイをしてあげて、
帰りはデートしたり、色々しました。

そんな、何気ない幸せな日々が続いて、
企画主任のマーくんもとっても頑張って、
僕も元気をわけてもらってました。

でも、そんな、ある日。
何時ものようにデスクで仕事を片付けていたら、
マーくんが、突然、凄い形相をした上司に呼び出されて、慌てて上司と共に
走って行ってしまい、それで終業時刻になっても彼は持ち場に戻ってこないで、
ただ、「今日は一緒に帰れません。先に帰っていてください。」
ってメールだけがきた。

なんだか、凄く、嫌な予感がした。

そして、その夜、お風呂から出たらメールが届いていて、
それを開いたら、こう書いてあった。

「くびになっちゃいました」

僕は慌ててマーくんに電話をかけた。
電話、ショックで出れないかな…と思いつつも、
ここでマーくんを一人にしたら、いけないって。
お馬鹿なマーくんは、
僕がいないと。

トゥルル、トゥルル、カチっ

相手と繋がってトゥルルという電信音が消えた。
マーくんは電話に出てくれたんだ。

「あ…、カ、ツ、、、、ノリ…さん………こ、、、んばん…は……………」

こんな深刻な時なのに、こんばんはって挨拶するマーくんは、相変わらずマーくんで、
ちょっと安心したけど、
「何があったの?僕聞くよ?」
って、話を切り出した。

「あはは…、頑張りたいって思ってた企画で、頑張るどころか、こんなことになっちゃうなんて、本当俺馬鹿マサシですよ…」

そうして、マーくんは、ぽつりぽつり、あったことを話し始めた。
どうやら、企業間で起きてしまったトラブルの責任を押し付けられて辞めさせることになったみたい。
彼が直接悪いわけではないのに、主任という事でない罪を背負わされる事になってしまったのだ。

「ははっ…明日から、就職活動ですよ…すみません、カツノリさん。
 あんなに色々会社の事教えてもらったのに・・・」

「ねぇ、就職活動の時の、ネクタイはどうするの?」

「あ、どうしよう、ははっ、もうカツノリさんに締めてもらえなくなっちゃうなー」

「僕が、やってあげるって言ったでしょ?」

「え?」

「僕の家に泊まりなよ。新しい就職先見つかるまで。」

「え!?そ、そんな嬉しいけどカツノリさんに悪」

「僕が、やってあげるって言ったでしょ?」

そう、お馬鹿なマーくんは、
僕がいないと駄目なんだから。
一人じゃ、駄目なんだから。

それから、僕らは同居し始めた。

マーくんは、いびきはうるさいわ、散らかすわ、朝の目覚めは悪いわで
本当お馬鹿マーくんだった。

でも、僕が作ったご飯をとっても嬉しそうに食べてくれるマーくん。
僕を頼ってくれるマーくん。
マーくんが、何処か就職試験を受けて、
「駄目でした…」
って落ち込んで帰ってくる度に、
よしよし、次はきっと大丈夫だよってなでなでしつつも、
実は安心してる僕。

このまま、ずっと僕の家で、
こうやって、
一緒に居られたら。

でも、半年たったある日、
僕は仕事中だと言うのにわざわざ、会社に直接電話をしてきて

「カツノリさん!俺です!受かりましたよ!やっと!」

って嬉しそうなマーくんの声が受話器から溢れ出して来た。
マーくんの嬉しそうな顔、見ないでも想像がつくよ。

「おめでとう!何処に受かったの?」

「はい、ホドモエシティの…………………」

ホドモエシティ、場所を聞いただけで、ちょっとショックだった。
もし、就職先が、ヒウンから近かったら、

このまま、ずっと
一緒に同居しない?って、

言おうと思ってたんだ…。


「半年もありがとうございました!」

「うぅん、全然。でも、マーくん、ネクタイ大丈夫?」

「が、頑張りますって!!後、ホドモエのジムの近くに社寮があるみたいで、
 そこで住む予定です!」

「そっか…、頑張るんだよ。でも、これからも僕たち恋人だよね…?」

「あっ…あ、当たり前ですよ…!!!」



それから、僕らは毎月必ず1回はこうして会う事になった。

最初のうちは、ほんとすっごく落ち込んでて、会う度に、
「カツノリさぁあああん!
 俺、本当、馬鹿マサシですよぉおお!!!
 あっちでもそのあだ名つけられちゃいましたよぉおお!!!!!!!!」

って僕に泣きついてたっけ。

そう。

彼は、

マーくんは、

僕がいないと、

駄目な子…。



でも、今日は遅れないできちんとこれた。

新しい就職先の会社でも最近は褒められるようになったって言ってて。

最近はメールも電話も数が少なくなって。



もう、僕が居なくても、

マーくんは…


「…ツ……ノリさん?カーツノリさんっ?」

マーくんの声でハッと我に返る。

「あっ…ごめんねマーくん」

「いえいえ、カツノリさんお疲れです?忙しいのにすみませんです」

「な、あ、謝らなくていいよ。…っそれより…と」

マーくんの首もとに手を伸ばし、ぐちゃぐちゃになってるネクタイをシュルルと解く。
そしてカッコ良く、キチッと結び直してあげる。

ほら、ね。

彼には、

僕がいないと…。



何時もより、キュッと、きつく結び目を締める。

ずーっとずーっと、
マーくんが僕から離れませんように。

ずーっとずーっと、
絡まってほどけませんように。

この、ネクタイ…みたい…に……




「カ、ツノリ…さん…?」


僕は何時の間にか目から雫をポロポロ流してた。
マーくんの首もとのネクタイに手をあてたまま。

マーくんは困った顔をしながら、僕を胸元へと抱き寄せた。
さっき走ったせいか、マーくんの胸元は、ちょっと汗臭かった。

「今日は寒いし、もうホテル行きましょうか。
俺は走ったから暑いけど…あ、いやいや汗が冷気で冷やされちゃって寒くて寒くて」

マーくんなりに気をつかってくれたんだろう。
格好いいはずなのにやっぱり格好悪いマーくんらしくて、
僕の目頭は余計熱くなった。

「…うん。」

楽しそうに光り、踊るイルミネーション達も目にもせず、
僕とマーくんはホテルへと向かった。

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